~役割・仕組み・構造をわかりやすく解説~
防火ダンパー、火災時に人命や建物を守る非常に重要な役割を担っています。
本記事では、空調機器メーカーであるダイリツの視点から、防火ダンパーの役割・仕組み・構造について、分かりやすくご紹介します。
1. 防火ダンパーとは?
火災が発生すると、炎や煙はダクト(換気・空調設備の通り道)を通じて一気に広がる危険性があります。防火ダンパー(Fire Damper, FD)は、火災時にダクトを通じた火の拡散を防ぐために設置される重要な設備です。通常は開いた状態ですが、火災時にはダンパー内の温度ヒューズが作動し、自動で閉鎖されます。これにより、建物全体への延焼を防ぎ、避難時間を確保する役割を果たします。
🏢 防火ダンパーの設置が求められる主な建物
- オフィスビル・商業施設:火災区画を守るため
- ホテル・病院:避難経路の安全確保
- 工場・プラント:高温環境での防火対策
- 地下鉄・トンネル:排煙・防火の両方を担う
💡 防火ダンパーは、消防法・建築基準法に基づき設置が義務付けられています。
2. 防火ダンパーの法規制と設置基準
防火ダンパーの設置は、建築基準法施行令第112条第16項 によって明確に定められています。
具体的には、換気・暖房・冷房設備の風道(ダクト)が、防火区画を貫通する場合に設置が義務付けられる という規定があります。
📌 法規制のポイント
✅ 準耐火構造の防火区画を貫通するダクト部分に設置
✅ 建設大臣が定めた構造方法を満たした防火設備であること
✅ 火災時に確実に作動し、延焼防止機能を持つこと
🔥 防火ダンパーが設置されていない、または適切に作動しない場合、火災の被害が拡大するリスクが高まります。
3. 防火ダンパーの仕組み
防火ダンパーは、火災発生時に以下の流れで作動します。
- 火災発生 → ダクト内温度が上昇(通常72℃)
- 温度ヒューズが作動し、ダンパーが自動で閉鎖
- 火や煙の拡散を防ぎ、建物の安全を確保
※排煙ダクトなど高温対応が必要な場合は、280℃の高温ヒューズを使用することもあります
🔥 防火ダンパーの確実な作動が、火災による延焼リスクを大幅に減少させます。
4. 防火ダンパーの種類(ダイリツ製品)
ダイリツでは、建物の用途やダクトの仕様に応じたさまざまな防火ダンパーを取り扱っています。
主な種類は以下の通りです。
ダンパーの種類 | 特徴 | 代表製品 |
FD(Fire Damper):防火ダンパー | 火災時に温度ヒューズが溶解し、自動で閉鎖 | FD-1-N107KS、FD-1-N107K など |
HFD(High-temperature Fire Damper):排煙系統用防火ダンパー | 排煙が目的のダクトに設置、280℃高温時に作動 | HFD-1-N107KS など |
SD(Smoke Damper):防煙ダンパー | 煙感知器と連動し、ソレノイド部分の通電で自動閉鎖 | -(SFDのヒューズなし版) |
SFD(Smoke Fire Damper):防煙防火ダンパー | FD+SDの機能を併せ持つ、一体型防煙防火ダンパー | SFD-1-N206、MSFD-1-N507C-A |
PFD(Piston Fire Damper):ガス圧式防火ダンパー | ヒューズ作動+消火用ガスの加圧による自動閉鎖機能付き | PgSFD-1-N107W、PgSFD-1-N307A |
BD(Barometric Damper):差圧ダンパー | クリーンルームなどの圧力制御用 | BD-A、BD-B |
RD(Relief Damper):避圧ダンパー | 不活性ガス消火設備の圧力調整用 | PgSD-1-307 |
💡 用途や設置場所に応じて、最適な防火ダンパーを選ぶことが重要です。
5. 防火ダンパーのメンテナンスの重要
防火ダンパーは、設置後も定期的な点検と保守が必要です。
もし故障や汚れの蓄積があると、火災時に作動しない可能性があり、重大なリスクとなります。
✅ 定期点検(年1回以上推奨)
✅ 温度ヒューズ・駆動部分の動作確認
✅ ダクト内の清掃(ほこり・油汚れの除去)
💡 防火ダンパーの適切なメンテナンスが、火災時の安全を守ります。
6. まとめ
- 防火ダンパーは、火災時にダクトを通じた火や煙の拡散を防ぐ重要な設備
- 建築基準法施行令第112条第16項に基づき、設置が義務付けられている
- ダイリツではFD・HFD・SFD・PFDなど、多種多様な防火ダンパーを取り扱い
- 定期的なメンテナンスが必要で、点検を怠ると火災時に正常作動しないリスクがある
💡 防火ダンパーは、人々の命を守るための設備です。適切な設置とメンテナンスを行い、安全な環境を維持しましょう!
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